min dagbog

デンマークのこと、思ったこと、感じたこと。

Janteloven。

こんにちは!

いきなりですがみなさんは「ヤンテの掟」という言葉を耳にしたことがありますか?昨日デンマーク人と話していた時に出てきた「Janteloven」という言葉。ちらっと聞いたことはあったのですが、詳しくは認識していなかったので調べてみました。

 

ヤンテの掟とは、1993年にAksel Sandemoseが出版した小説のなかに登場する架空の村Janteにおいて、住人が守るべきとされている十戒のこと。そしてこれはスカンディナヴィア諸国共通の価値観として根付いています。

Jantelovens 10 bud:

  1. Du skal ikke tro, du er noget.
    (自分が特別だと思ってはならない。)
  2. Du skal ikke tro, at du er lige så meget som os.
    (自分が私たちと同じくらい優秀だと思ってはならない。)
  3. Du skal ikke tro, at du er klogere end os.
    (自分が私たちより賢いと思ってはならない。)
  4. Du skal ikke bilde dig ind, at du er bedre end os.
    (自分が私たちよりも優れていると思ってはならない。)
  5. Du skal ikke tro, at du ved mere end os.
    (自分が私たちよりも多くを知ってると思ってはならない。)
  6. Du skal ikke tro, at du er mere end os.
    (自分が私たちより重要だと思ってはならない。)
  7. Du skal ikke tro, at du dur til noget.
    (自分が何かに秀でていると思ってはならない。)
  8. Du skal ikke le ad os.
    (私たちを笑ってはならない。)
  9. Du skal ikke tro, at nogen bryder sig om dig.
    (誰かが自分を気にかけてくれると思ってはならない。)
  10. Du skal ikke tro, at du kan lære os noget.
    (自分が私たちに何かを教えることができると思ってはならない。)

 ここでいう「os(=私たち)」とはJanteの村に住む人々のこと。つまりデンマークならデンマーク国民のことを指します。

なんだか読んでるうちに自信が削りとられて行くような言葉、、、笑 ここからは個人の見解ですが、私が思うに、デンマーク社会の特徴である「平等」という考え方はここに端を発しているのではないかなと思います。

アメリカのような資本主義社会において、個人の生活の保証をするのは「政府」ではなく「個人」。豊かになれるかなれないかは自分次第です。そう言った競争社会において「ハーバード大学を卒業してエリート街道を歩むんだ!」「ハリウッドスターになって大金持ちになる!」といったアメリカン・ドリームを叶えるためには「自分は特別なんだ!」と思うことが不可欠ではないでしょうか。
一方デンマークのような社会主義社会において、個人の生活を保証するのは「個人」ではなく「政府」。みんな平等にある一定の「豊かさ」を得ることができます。そしてその一定の「豊かさ」を得るためにはみんな平等に「負担」を払う必要があります。そこで誰かが「私は特別なんだ!」と言って負担を払わなかったり、自分だけ豊かになろうと和を乱す者が現れるとどうなるでしょうか。「平等」の上に成り立っている社会が崩れてしまいます。

こう言った社会では「大金持ちになることで幸せになるんだ!」というよりも「今ある豊かさの中で喜びや幸せをみんなで見つけようよ」という意識が高いのではないでしょうか?(逆にいえば「幸せ」のハードルが低いのでは)そして、これがデンマークにおける幸福度の高さに繋がっているのかもしれません。

 

細かく見ていくと確かに現在のデンマーク社会にも通じているなと思う点が多数あります。例えば、原則2(自分が私たちと同じくらい優秀だと思ってはならない)3(自分が私たちより賢いと思ってはならない)は、教育面において、成績による順位づけや他人との比較を重視していないこと。原則8(私たちを笑ってはならない)は、比較的LGBTや障害を抱えた方達に対して寛容なこと。(移民の受け入れに厳しいのはここでいう「私たち」に含まれていないからなのかも)
また、以前大学のワークショップで聞いた話が原則9(誰かが自分を気にかけてくれると思ってはならない)に通じているのではないかと思いました。「デンマークの人たちはあなたが困った様子でも助けてくれません。それは意地悪ではなく、他人のプライベートな時間を邪魔してはダメだと思っているから。でももし、あなたから助けを求めれば、みんな快く助けてくれます。」

 

この原則、言うなれば「謙虚の十戒なのではないでしょうか。「協調を重んじ、謙虚であれ」の原則。この「協調性」や「謙虚」という言葉、日本でもよく耳にしませんか?日本でも「謙虚が美徳」とされていますよね。デンマーク人はシャイだとよく聞きますがそれは日本人も同じ。謙虚な態度が時としてシャイに思われてしまうのかも。遠く離れた国同士ではありますが国民性の面で共通点が多いなと感じます。

 

みなさんはこの「ヤンテの掟」どう思いますか?
最後まで読んでくれてありがとうございます!それではVi ses!

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(街中にある銅像。ヤンテの掟とは無関係ですが、手持ちの写真の中で一番イメージに近かったので選んでみました笑 これ本当は何なんだろう、、、)